第2章 獣達の挽歌

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「風走……!」 再び風走を使い、擬似的にだが肉体強化をしたハルト。 格闘技などやったことがないため、ぎこちなくはあったが、目の前のケロベロス・タイガーに向けて攻撃を仕掛けた。 順当に繰り出した右手は、虚しくも空をきる。 攻撃をよけたケロベロス・タイガーは、ハルトの右側に回り込み飛び掛かってくる。 先程の攻撃の勢いが抜けきれなかったハルトは、横方向にはその攻撃を回避できない。 そこで、そのまままっすぐに突っ込み、少々痛い思いはしたものの、ケロベロス・タイガーの攻撃をよけきった。 そしてそのまま着地した足を軸に回転し、蹴りを入れる。 足の先を風に乗せ、さらにスピードが上がった回し蹴りは、いくらがたいのいいケロベロス・タイガーもたたではすまず、吹き飛ばされた。 「なかなかやるわね…………」 一方、そう言葉を漏らした柊茜は依然として2体のタイガーと向き合っていた。  
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