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12月24日、クリスマスイブ。
愛し合う2人が誰にも邪魔されずに過ごす日。
本当はそんなきまりごとなんてないけど、何故かそれがロマンチックで。
街ではカップルが仲良く手を繋いで歩いていく。
俺の一番好きで、一緒に過ごしたい人は──
「まっ、守さん?」
「あ、守知ってるの?これからOZMAファミリーで一緒にバックダンサーを務める峰だよ」
「久し振りじゃん、峰」
信じられなかった。
師匠である守さんとの再会、そして同じバックダンサーとして踊ること。
「よろしくな峰」
「よろしくっ峰くん」
肩をポンポンと軽く叩かれてダンサー達から微笑みかけられたけど、あまりそちらに反応が出来なかった。
昔と変わりがない守さん。
でも、どこかしら昔より格好良くなってる。
なんだろう…顔をずっと見つめていると頭がボーッと─
「おい、峰、峰?」
「……はいっ!?」
「皆に『よろしく』は?」
「あああのっ、足手まといにならないように必死に踊るので、よろしくお願いします!」
OZMAさんの声で目が覚めて、まごつきながら挨拶をしてしまった。
恥ずかしい……
「ハハハ、前と全く変わんないな峰は!」
ガシッと俺の肩をつかんで守さんは言った。
この力強さが凄く懐かしく感じられる。
皆は一斉に笑い出して、俺は顔から火が出る思いだった。
「ま、守さんだって変わりないじゃないですか…」
「そうか?俺はね…変わったよ」
「え?──」
「はいはい、じゃあ今回のツアーから参加するから、よろしく頼むよ!今日はこれで解散!」
『お疲れ様でした!』
挨拶を済ませ、早々と上着を着込んだ。
スタジオを出て携帯の画面で時計を見た。
終電に間に合わなくなる…間に合わなければ徒歩で1、2時間かけて家に帰らなきゃならない。
いくら男だからって夜道は危険だ。
急がなきゃ…
「峰ーっ!」
「守さん…」
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