一足遅いプレゼント

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(もう、最悪。) 今日は12月25日。クリスマスと言う日だそうだ。 恋人や家族、友人達と共に過ごしたり、パーティーを開いたりする日らしい。 早苗からその話を聞いた皆が黙っている訳は無く、いつも通り宴会を開こうということになった。 そんな中、私、アリスは一人でベッドの中に潜り込んでいた。 何故かと言うと…。 「ゲホッ。はぁ…。」 (昨日早めに作業を切り上げておくべきだったわね…。まさか風邪を引くなんて思わなかったわ。) そう、私は風邪を引いてしまったのである。 彼女は昨日、魔法の実験に使う材料を探すのに一日中魔法の森を散策していた。 思うように目的のものが見つからず、見つかったとしてもほんの僅かな量しか見つからなかった為に、朝から探し始めたにも関わらず日が沈む頃までかかってしまったのだ。 そうして疲労していた上、更に冷え込みが厳しかったのも手伝って風邪を引いてしまったというわけである。 全身の倦怠感、喉の痛み、少し微熱がある体――どれをとっても風邪の症状である。 (妖怪でも風邪を引くのね。) そう自嘲気味に思い、はぁーと溜め息を吐く。 今回の宴会は妖怪の山に住む妖怪、天界に住まう天人、地底に封じられし妖怪たちをも巻き込む大きな宴会である。 私ももこの宴会は楽しみにしていたので、数日前から密かに準備をしていた。 なのに自分の体調が悪いという理由で行けなくなってしまったのである。これほどショックな事は無い。 『クリスマスには大切な人へプレゼントをするんですよ。』 早苗がクリスマスについて霊夢達と話している時に言っていた事が思い出される。 数日前から準備をしていたモノ。大切な人へのプレゼント。 私はは魔理沙に人形をプレゼントするつもりだった。 呪いの人形ではない、魔理沙を模った普通の人形。 (魔理沙も誰かにプレゼントをするのかしら…。) その話をしている時、魔理沙もしっかりその場に居た。      
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