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汚くなってしまったシュランツの部屋を綺麗に片付け、おやすみなさいと互いに交わし、2人は別れた。
自室に戻ったブレイク。
明かりを点けて直ぐ様ベッドに飛び込み、枕に顔を埋める。
そのまま数秒。
無言のままうつ伏せになっていたが、呼吸をするために枕から顔を離し、ごろんと体を回転させ仰向けになる。
「意味分かんね……」
交差した両腕。
それを顔にのせ、嘆息。
しばらく経って、交差をほどき、右のズボンに入れたメモと銀のバッチをもぞもぞと取り出した。
「何だよ……。
このメモ……」
眠そうに瞼(まぶた)を半分閉じながら、再びメモに目を通した。
『2013決して忘れるな。
ホーン討伐隊は信用出来ない。
内部にパイオニアのスパイが潜んでいる。
彼らより先に勇者を見つけろ。
先を越されたら、勇者は殺される。
このバッチを勇者に見せて保護しろ』
(2013――。
2013年。
今年だよな。
博物館でイサと会話した時に、今チキ歴何年か聞かれて俺は答えた。
やっぱりイサが伝えていたんだ。
未来にバルジャーモが現れるって。
そうとしか説明がつかない)
メモを両手で天井にかかげながら、尚も考え続ける。
(問題はその次――。
ホーン討伐隊は信用出来ない。
パイオニアのスパイが潜んでる。
ホーン達がチキを侵略する為に作られた組織。
そのスパイがホーン討伐隊に紛れてる?)
天に向けていた両腕をダランとベッドに落とし、再び嘆息。
(じゃあどうしろってんだよ?
ホーン討伐隊に魔王の手先が紛れこんでて、俺の命を狙ってて……。
俺は……、誰に助けを求めればいいんだよ)
メモとバッチをベッドの横にある小さな木製の台の上に置き、瞼を閉塞。
「シュランツ……。
どうすりゃいい?」
瞳を閉じたまま、今は亡き優しい執事を思い浮かべる。
ブレイクがまだ小さい、小学生低学年の頃。
その時の彼は、今より成績が良くなく、むしろ学力は最低レベル。
小学生の簡単なテストでさえ、0点を記録する程に。
そしてそのせいで、ブレイクは同級生に馬鹿にされ、よく泣かされていた。
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