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そういえば、自分が行方不明と報道されていたんだと思い出す。
しかし、3日間生き埋めにされていたと説明した手前、初めて聞いた振りをするブレイク。
「そうだったんですか……。
でも、それじゃあ僕も行った方がいいんじゃないですか?」
「いや、今まで博物館に生き埋めにされていたブレイクに、無理をさせることは出来ない。
私がマスコミに説明に行くから、今日はゆっくり休みなさい」
「……分かりました」
ふと、何の気なしに父親の心配をするブレイク。
ここ3日間、父親は博物館の崩壊事件で寝る時間を裂いてまで、関係各位に謝罪しているのではないだろうかと予想する。
自分も疲労困憊している筈なのに、その素振りを全く見せない父親の姿を見て、改めて凄いと感じていた。
「お父様」
リビングから出ていく父親の後ろ姿に声をかける。
「ん?
なんだい?
ブレイク」
それに気がつき、体を後ろに向けるガバ。
「お父様もちゃんと休んで下さいね」
「うん。
ありがとう」
にっこりと笑みを浮かべ、リビングから出ていく為に再び歩き出す。
「あっ!」
突然、何かを思い出したらしく、声を上げて再び後ろを振り返った。
「そういえばブレイク。
バルジャーモの行方が分からないんだが、もしかして知ってたりしないか?」
その問いに心拍数がはね上がる。
「いや……。
すいません、分からないです」
本当の事を言って巻き込む訳にはいかず、嘘を吐いてごまかす。
「そっか……。
いや、すまないな。
変な事を思い出させてしまって。
それじゃあ行ってくるよ」
手を軽く上げて、後ろを振り返り、ガバはすぐにリビングから出ていった。
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