AM00:00~ 執事の死

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※ シュランツの部屋。 ブレイクの部屋同様、一面に敷き詰められた景色を一望出来る窓ガラスには、クリーム色のカーテンがかけられていた。 12畳と、1人部屋にしては広々としたスペースには、洋服タンス。 デスク。 パソコン。 テレビ。 冷蔵庫。 ベッド。 など、一通りの生活用品が揃っていたが、シュランツの部屋の大部分を占領しているのが本棚。 壁の一面に敷き詰められた白色の本棚には、文庫本が所畝(ところせ)ましと並んでいた。 扉を開き、明かりを点けてまず向かったのはデスク。 机の上には台形のデジタル表記時計と、今より少しだけ若く見えるシュランツと奥さんとまだ幼い息子の3人が映った写真。 そして、卓上カレンダー。 10月22日の欄が赤い丸で囲まれ、博物館開館日と書かれている。 デスクの一番上の引きだしを躊躇いもせずに、乱暴に開けるブレイク。 引きだしの中には、シャープペンシル、消しゴム、万年筆や、ハサミ、スティックのりといった文房具類。 綺麗に整頓されている事から、シュランツの几帳面な性格が窺える。 「無いな……」 ガタガタと音を鳴らしながら、机の全ての引きだしを開けるが、お目当ての物が見つからなかったらしく、ため息を吐きながら引きだしを閉じていく。 「引きだしとかに入ってると思ったんだけど……。 洋服タンスの引きだしとかも探すか? でもなぁ……。 絶対にあるって言い切れないしなぁ……」 腕を組みながらぶつぶつと呟く。 その時。 軋む音を響かせる部屋の扉。 体全体をビクッと震わせ、直ぐ様後ろを振り返る。 「ぼっちゃま?」 そこにいたのは、先程まで来ていたはずのメイド服から、寝間着に着替えたロッテルだった。 読書でもしていたのだろうか? 珍しく、老眼鏡をかけている。 「なんだ、ロッテルかぁ。 脅かさないでくれよ……」 扉から入って来た人物が、自身のよく知る人物だったので安心する。 「すいません。 物音がするものですから、気になって……。 それにしてもどうしたのですか、シュランツさんの部屋に入ったりして?」 ロッテルの部屋とシュランツの部屋は隣同士。 乱暴に引きだしを開け閉めしたせいで、ロッテルに気付かれてしまったようだ。
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