AM00:00~ 執事の死

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「ごめん、うるさくしちゃって。 ちょっと探し物しててね」 「探し物ですか。 良かったら私も探すの手伝いますよ」 口許に刻まれた深いシワを動かし、笑みを作る。 ロッテルの親切心とは裏腹に、ブレイクは面倒な事になったと苦笑いを浮かべる。 「いや、でも悪いよ。 結構探すのに時間かかるかもだしさ」 「だったら尚更手伝いますよ。 1人より2人です! 大丈夫ですよ、ぼっちゃま。 こうみえて、私探し物を見つけるのが得意なんです。 すぐに見つかりますよ」 探し物を見つけるのがうまそうな顔ってどんなだろうと思いながら、やや困った表情でハハッと声を漏らす。 (まいったな……。 こりゃ変に言い訳したら逆に怪しまれそうだ。 うーん……。 別に探してもらう分には巻き込む事にならないよな) 「じゃあ、お願いしようかな」 「ハイ。 それで、探し物は何ですか?」 シュランツの机の引きだしを開け閉めする際に邪魔だった為、机に置きっぱなしの携帯電話。 それを右手で掴み、先程の停止画像をロッテルに見せる。 「このバッチなんだけど……」 携帯電話をロッテルに突きつける。 携帯電話に映る、ドラゴンの模様が描かれたバッチ。 粒子が粗く、モノクロで色は判別出来ないが、ロッテルはふんふんと呟きながら、首を傾げた。 「あれ? このバッチ……。 昔何処かで見た様な……」 「えっ!? 見た事あるの!? 何処でッ!? 何時(いつ)ッ!?」 まさかの発言に、興奮して声が大きくなる。 「えーッと……。 確かシュランツさんが持っているのを昔見たんだったかしら……」 左手をこめかみにあて、目を瞑り真剣な表情で思い出そうとするロッテル。 そんな中ブレイクは、今回の事件に関係する情報が聞けるかも知れないと、メイドが思い出してくれる事を心の底から願っていた。 (頼むッ! 思い出してくれッ!) 「あぁッ!! 思い出したッ!! 思い出しましたッ!!」 満面の笑みを浮かべて声を荒らげるロッテル。
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