AM00:00~ 執事の死

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※ 探し初めてからそろそろ20分が経とうとしていた。 洋服タンスの引きだしや、ベッド下の収納スペース。 果てにはそんな所にはないだろうと思いながら、洗面所の引きだしを開けるも、やはり出てくるのは石鹸や歯みがき粉といった洗面用具のみ。 なかなかバッチが見つからず、ブレイクは半ば諦めていた。 「ロッテル、もういいよ。 多分、これだけ探して無いって事はシュランツが身に付けてたんだよ。 もうすぐ1時だし、もう諦めるよ」 「そうですねぇ……。 でもまだ探して無い所もありますし、もうちょっとだけ探して見ましょう」 まさかロッテルが、ここまで積極的に探そうとしてくれるとは予想外だった。 正直探すのも飽きて、眠くなってきたブレイクは、あくびで開いた口を左手で覆い隠し、目をこすっていた。 (あぁーあ……。 もういいのに……。 シュランツが昔ホーン討伐隊に所属していたって知っただけで収穫だよ。 イサもホーン討伐隊に所属していたらしいし、おそらくホーン討伐隊に言い伝えておいたんだろう。 百年後にバルジャーモが現れる事を。 あってるだろ多分。 俺の推理。 だからもういいよ) 洋服タンスに収納されていた燕尾服のポケットを探るメイドを、気だるそうに見つめる。 (なんて言えないよなぁ……。 はぁ、ねむ……。 手伝ってもらっておいて、眠い事を理由に帰るわけにもいかないしなぁ……。 仕方ない、ロッテルが諦めるまではいよう) 一心不乱にバッチを探すロッテルをよそに、ブレイクはおよそありそうもない本棚に目をやっていた。 2メートル半近くある天井。 そのスレスレまでに高さがある白い本棚。 本棚に何かめぼしい本は無いかと顔を傾ける。 (シュランツってほんっと、貴重面だな……。 きちんとタイトルの順で並んでる。 ふーん……。 おっ!) 本のタイトルを目で追っていると、とある本に興味をそそられたらしい。 『ホーン討伐隊隠された闇』 厚さ2センチ程の黒いハードカバーの本。 (ホーン討伐隊か……。 勇者イサや、今回の事件について何か書いてあるかも……) 過度な期待もせずに、本棚からその本を取り出す。 そして、ページをめくろうとした瞬間。 本に挟まっていた薄っぺらい紙切れが、ヒラヒラと部屋に敷き詰められた茶色い絨毯の上に落ちていった。
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