AM00:00~ 執事の死

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落ちる様子を目で追っていたブレイク。 腰を屈めて紙切れを拾い上げた。 見ると、何やらメモが書かれている。 (何だ? シュランツの字かな? 何か書いて――!?) 紙切れに書かれた文字を黙読。 その衝撃の内容に、思わず声が漏れそうになったが、なんとか堪える。 メモの内容はこうだった。 『2013決して忘れるな。 ホーン討伐隊は信用出来ない。 内部にパイオニアのスパイが潜んでいる。 彼らより先に勇者を見つけろ。 先を越されたら、勇者は殺される。 このバッチを勇者に見せて保護しろ』 (どういう……。 んだよ……、これ……?) 正常な思考が出来ないまま、手にしていた黒い本を開く。 (なっ!?) 黒い本を開いて再び驚愕する。 ページの丁度中心。 5センチ程の正方形の穴が開いており、その中にすっぽりと木箱が収まっていた。 (もしかして、この中に入ってんのか?) クローゼットを探しているロッテルの方をちらっと確認する。 どうやら探すのに夢中で、ブレイクの慌てぶりには気がついていないようだ。 ロッテルが自身の方を見ていない事を確認。 衝撃的な内容が書かれたメモを丸め、ズボンのポケットにしまいこむ。 そして、慎重に本の穴から木箱を取り出し、本棚に本を戻し、木箱をこっそり開く。 (あった……) 予想通り。 イサが残してくれた映像に映っていたのと同じバッチが入っていた。 銀色のバッチを手で掴むと、照明に照らされ光が反射する。 「ぼっちゃま! 見つけたんですか?」 バッチの光に気がついたロッテル。 クローゼットに収納された黒いダウンジャケットのポケットをまさぐる手を止めたまま、驚きのあまり声を発する。 「あ、うん。 本棚の1番上にあったよ。 この木箱に入って……」 (まさか見つからない様に本をくりぬいてあったなんて言えないよな……) 事実のまま話して狼狽されても困ると、ブレイクは真実を隠した。 「あぁ……。 あんな高い所にあったなんて……。 それじゃあ背の低い私には見つけられないはずですね。 はぁ、残念です」 本当に残念そうに俯くメイドを見て、何故か申し訳ない気持ちになる。
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