779人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ。
残念ながら」
「……何でですか?
何で殺されたって断言出来るのですか?」
当然の疑問を、やっとの事で父親に投げ掛ける。
「そうか。
そういえば、ブレイクは実際にバルジャーモを見たんだったな……」
父親がその言葉を発した途端。
ブレイクは、全身に軽い電気が走ったかの様に背筋を震わせた。
一言もバルジャーモに襲われたなどと喋ってはいない。
それなのに、何故父親は知っている?
「何で僕がホーンを見たって知ってるんですか?」
ブレイクの鋭い視線を直に受けて、ガバは弱冠苦々しい表情を見せた。
「ホーン博物館に設置してある監視カメラを見せてもらったんだ。
ブレイクやシュランツの安否が心配でね。
それを見て、ブレイクがバルジャーモに襲われた事を知ったんだ。
……シュランツの件も」
「監視……、カメラ!?」
父親の説明を聞き終え、監視カメラに一連の流れが映っているのではと、動悸を早める。
「だけど、バルジャーモが放った黒い光のせいで、途中でカメラが止まってしまったんだ……。
だからブレイクがこうして帰ってきてくれるまで、私は気が気で無かったよ」
その言葉を耳に入れ、3日前の惨劇を頭に思い浮かべた。
バルジャーモが黒い光を警備員達に放ち、壁に大きな掌型の穴が空いた直後。
博物館は数秒停電したのだ。
その後、予備電源に切り替わり、停電は解消された。
おそらく、父親の話と照らし合わせると、その時に監視カメラの機能は停止したのではないかと勝手に予想するブレイク。
どうやら自分が勇者に変身したシーンは運良く録画されていなかったのだと、父親に悟られぬよう密かに心の中で安堵した。
「ごめんなさい。
私がいけなかったの……。
私があの時にシュランツの言う事を聞いていれば……」
ハンカチを瞳に当てたまま、何やら意味深な言葉を述べるハピ。
「ハピ。
言っているだろう。
仕方がなかったんだ。
ハピは悪くなんかないって。
自分を責めるのはもう止めるんだ」
「どういう事ですか?
シュランツが何か言っていたんですか?」
本能のままに母親に疑問をぶつける。
言った後に、母親が悲しい顔をさらに歪ませたので少しいたたまれない気持ちになった。
最初のコメントを投稿しよう!