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「あぁ、その通りだ。
責める事はない」
「そうですよ。
ぼっちゃま」
母親同様、ブレイクに非は無いと言い切る2人の言葉。
「ありがとうございます……」
自身の行いは恥ずべき行為だったが、自分の事を思ってくれる人がいるという幸せに、目頭が熱くなる。
「シュランツ……」
そして、その思ってくれる1人である執事がこの世にはもういないことに、改めて悲観する。
(シュランツ……。
どうして死んじまったんだ……。
お父様は殺されたって言ってたけど……。
俺はあの場にいた、それなのに、あの化け物に殺されるところは見ていない。
どういうことなんだ?
辻褄が合わない……。
まさか、お父様が嘘を?
でも、何の為に?)
駆け巡る思考。
その思考に、ノイズが生じる。
『君の家族の誰かがホーンである可能性も否定出来ない――』
ノイズの正体はアルズが放った衝撃の言葉。
(馬鹿な!?
何を考えているんだ!?
無いッ!!
あるわけが無いだろッ!!
お父様がホーンの生まれ変わりだって!?
それで俺を騙してる!?
それこそおかしいだろッ!!
こんな優しいお父様が――)
「シュランツの事は、本当に残念だ」
思考途中に聞こえる父親の悲しげな声。
なんでもないその声に、ブレイクはびくついていた。
(何を疑っている。
ありえない。
聞けばいいんだ。
確かめれば済むことだ)
「……お父様」
か細い声で父親を呼ぶ。
「どうした?」
父親の声。
そして、またもや思考にノイズが生じる。
『ホーンだった場合、問答無用で殺される』
(無いッ!!
お父様が俺を殺すわけがないッ!!
馬鹿かッ!!
びびるな!!)
疑心の心を振り払い、ブレイクはたどたどしく語り始めた。
「シュランツは、僕が物心ついた時から世話をしてくれて。
いっぱい迷惑もかけてきました。
笑った時も、泣いた時も、いっつも一緒にいて……。
あいつがいないなんて……、どうしても信じられない。
全くといって、実感が湧かない。
現実なのに、まるで夢の中にいるような……。
だから、どうしても知りたいんです。
シュランツがどうして死んだのか。
実際に見ないと納得できません」
「ブレイク!?
何を言ってる?」
興奮気味に喋るブレイクに、目を見開いて驚きを露わにするガバ。
「だから、見せてください。
シュランツが死んだその瞬間の映像を」
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