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ガバの話を耳にいれ、頭の中でシミュレーションする。
バルジャーモが放った黒い光が、壁を削りとり博物館の主電源のある部屋まで到達。
その直線上に運悪くいたシュランツは、黒い光を意識する間もなく、体を削りとられ死んでいったのだろう。
頭の中で想像し終えると、ブレイクは矛盾が無い事に胸を撫で下ろした。
「……そういう事だったんですか」
「納得したか?」
「はい」
父親の疑いを払拭し、安堵の表情を浮かべたが、まだ全ての謎が解かれた訳では無かった。
(良かった。
やっぱりお父様はホーンなんかじゃなかった。
でも、やっぱり気になるのはシュランツだ。
一体シュランツは何を知っていたんだろう……?)
執事のとった不可解な行動を紐解く鍵はないかと、思考していると、突然父親が携帯電話をスーツのズボンから取り出した。
「すまない、電話だ」
ガバはそう言葉を発すると席をたち、電話の主と会話をしながらリビングを出ていった。
「さあさあブレイク。
せっかく作った料理が冷めちゃうわ」
「あ、はい。
いただきます」
熱々だったはずだが、時間が経過し湯気が薄らいだコンソメスープを飲み込み、ポテトサラダを咀嚼(そしゃく)する。
「美味しい?」
「はい。
とっても!」
正直な感想だった。
ここ3日間で摂った食事の中で、ブレイクは断トツで美味しいと感じていた。
美味しそうに食事をするブレイクの顔を、幸せそうに見つめるハピとロッテル。
ポテトサラダと同じ皿に盛られていたハンバーグを、ナイフとフォークで食べやすいサイズに切り分ける。
それを口の中に運び、舌にのせ、ゆっくり味わい嚥下(えんげ)すると、電話を終えたらしいガバがリビングに戻ってきた。
「すまない、みんな。
マスコミが到着したらしい。
ちょっと行ってくるよ」
「マスコミ?
どうかしたのですか?」
「実はブレイクが博物館に生き埋めにされている事をマスコミに話していてな。
ニュースで報道されているんだよ。
ブレイクが博物館倒壊の日から行方不明だって。
こうして無事に生きて帰ってこれたんだ。
ちゃんとブレイクの安否を心配してくれている皆にも報告しないといけないだろ」
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