第三章

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「とりあえず改めてありがとう。まさか守護の対象に命を救われるとは思わなかった」 彼女は微笑んでいった。 「あ…ああ、うん。そんなのよりも体は大丈夫か?」 「実は立っているのも精一杯なの」 そう言うと彼女は俺の方へ倒れ込んだ。 慌てて彼女の倒れる体を受け止める。 「オイ、しっかりしろ」 そう言って彼女のからだを仰向けに寝かした。 彼女はすうすうと寝息を立てていた。 その顔を見たら不思議と安心感が出てきた。 とりあえず救急車を…。 そう思い落ちていた携帯に手をかける。 「救急車は呼ばないで」 彼女が言っていた事を思い出し携帯をポケットに突っ込んだ。 とりあえずアパートに連れて行こう。 そう思い彼女を背負い立ち上がった。 改めてまわりを見渡す。 緑色の草の絨毯を彼女の血が真っ赤に染めていた。 さらに地面にはあの輪が焼き付いていた。 まだ彼女が怪人Xじゃないという可能性はゼロにはなっていなかった。
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