第一章

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繁華街から離れるほど街は光を失っていく。 暗闇のなか一つの光が道路を進む。 俺は上を見上げた。 冷たい夜にコンクリートが堂々と建っている。 ここは企業会社のビルが立ち並ぶB区。 明かりといったら残業を頑張っている社員の悲しげな光くらいしかない。 ただでさえ不気味なのに半年前から妙な噂までたってきている。 怪人X来たる!! 俺が見た記事にはそう書いてあった。 他の記事では残虐な神サトゥルヌスとか魔神ジャガーノートとかオカルト染みていてパッとしない。 怪人Xというのは変死体を生み出す殺人鬼のことだ。 第一の事件。 会社員の男性が氷付けにされて死んでいた。 第二の事件。 これまた会社員の男性が大火傷で死んでいた。 大火傷じゃないな消し炭となってのほうが正しい。 何故なら未だに誰なのか特定できていないのだ。 第三の事件。 会社員女性の死体がミイラで発見された。 これだけでも十分不気味なのに不気味な共通点を残している。 それがオカルト染みている名前の原因である。
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