暴走した霊

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柊一が出て行って数分後、女将たちがやってきて料理を片付けてもらい、布団も敷いてくれた。 もちろん、隣の部屋にも自分用の布団を敷いてもらった。 夏「明日も早いし…そろそろ寝ようかな」 夏樹はカバンから洗面道具を取り出し、洗面所に行こうとした時、外からノックされたので、返事をしながらドアに向かっていく。 ドアの前にいたのは、露天風呂で柊一と偶然一緒にいた誠志郎だった。 夏「…何か用ですか?」 誠「あ、あの…飛鳥井いるかなぁ?」 夏「いませんけど」 あっさり断られたので、誠志郎も何も言えなくなってしまった。 誠「あ、あのぉ…」 夏「何ですか?」 誠「さっきは、その…ゴメン」 夏「別に気にしてませんから」 充分怒ってるよという顔をして言った夏樹だった。 誠「…飛鳥井、何処に行ったか分かるかい?」 夏「さぁ?鎮魂が下手だって言われたから修行してるんじゃないですか?」 誠「…飛鳥井は下手じゃないと思うけど」 夏「え…?」 誠「僕が言うのもアレだけど、鎮魂の方法って人それぞれだと思うよ」 夏「…」 夏樹は何も言えなくなってしまった。 その時、部屋の明かりが急に消えた。 誠・夏「え?」 2人は驚き、辺りを見回した。 停電になるのだったら女将たちがやってくるはずだが、誰も来ない。 夏「っ!?」 夏樹は、異様な気配を感じた。 昼間、女将に案内してもらった部屋と同じ…いや、それより強くなっている。 夏「これは…」 誠「あ、飛鳥井!!」 誠志郎は柊一がこちらに近付いてくるのが見えた。 誠「よかった、今停電…!!」 誠志郎は柊一の異変に瞬時に気付いた。 フラフラしていて、手には調理場から拝借してきたのか、勝手に持ってきたのか、包丁が握られている。 目は虚ろで、まるで操られている感じだった。  
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