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そう、どうせオレの持ち物がないんだし。 もういいよ。砂を巻き上げる大竜巻、砂を押し流す大水流。星の存在そのものの意味を覆す重力反転法。 …などという大味な技なんてべつにポーチ一つに比べたら勿体なくて使えないわ。 あぁぶつくさぶつくさ!! 「キャロルさん頑張って下さいね…」 「ああ!お前はそこで見てろってんだいっ」 ざくざくざく…… がさがさがさ……… ざくざくざくざくざく!! がさがさがさがさがさ!! ………。 土に草に木の幹に、掘れども分けども何も出ぬ。 ちょっと自分のやってることが虚しい…。 そんな所で探しとる様を見ているだけのアリウス君。別にこいつのものじゃないし。 …………………。 「精霊君。探すの手伝って欲しいんだけど」 ……オレはそのへんのひしゃげた木の根に座って見ていたあんにゃろうに嘆願した。 あぁ非常に不愉快だ。 「ふふ、いつ仲間に入れてくれるのか待ってましたよ♪」 そいつは天上の微笑みをオレにむけると、 白い厚いコートを脱いで下に着ていた黒いインナー姿になり、よく地面を眺めながら砂を掘っていった。 「なぁにそれ!」 砂を掘り進むそいつの隣で、なんだか台詞に納得がいかずに抗議する。 「ふふ、僕が頑張って下さいと言ったので一人でやってしまいましたね。いつ気付くかまっていましたよ」 ざくざく。その白い腕に砂が絡まっていく。痩せてるわりに程よく筋肉の着いた腕だ。 「きっと、ひねくれてるわりに素直なんですね♪」 またそいつはにっこりと微笑んだ。 うわぁっ!! 「阿呆っ!何だお前はぁ!」 そいつの言葉がオレの心の中をくすぐってくる。 それが自分の中に存在していないと思っていたものだからたまらなくなって、心の中から追い出したくなった。 ちらりと手近に見えた一抱えある大木に目をつけると、両手を延ばして体を延ばして、大きく体のばねをつかって黒い剣を振りかぶり、 勢いに任せて切り倒した―――
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