水滴

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起き上がった時に自分が黒いタンクトップとボクサーパンツだけだったのを思い出した。 上着取りに行かないと…。 そいつはオレの膝を受けつつふらりと立ち上がって来た。 「オレは昔からオレ。言葉遣いより見ればわかるだろっ!」 「いえ、これは重大なことなんです!見た目だけで判断すると性別変換術を使ってる場合もあります。 しかし僕はあなたを女性だと思ったからこそ助けてあげたのです! 水を吐かせたのは僕ですし。」 そいつは体で人口呼吸のジェスチャーをしてみせた。 っっずしっ!! オレはそばにあった自分の剣のみねでそいつのどたまを無言で殴った。 いやぁ、さすが名剣。主人が水に溺れてもちゃんと手元にいる。大好きだ。 オレはすとんと砂に剣をさした。 裸足に砂が気持ちいい。 太陽の光りはゆらゆらと、木々の間から覗いてる。 オレが目覚めた時からけっこうな時間が立ってるのが、草の朝露の乾燥加減でわかる。 そういうばおなかすいたなと思うといっきに疲労感がましてきた。 食料は現地調達。肉らしきものの気配はなし。これは植物採集が妥当だな。木々というか完全に山の森のようなのが砂地に生えてるのだから、木の実に山菜にいろいろあるかもしれないな。もしくは… あ、復活したよこいつ。 しばらく状況分析をしている間にゆらゆらと立ち上がった彼は、なんだか口元にふくみ笑いを浮かべていた。 「そんな物干し竿みたいな長さの剣を振り回す怪力が…女性の腕にあるのですか……げっふぉおっ、げっふぅうっ…」 怪しい呼吸をし始めたそいつの顔をじっと見る。 オレはキレイなものは好き。造形はオレ好み。そして 「僕は精霊なのですよ…いいんですか、クク…痛かったですよ…?」 そう、それがいい。 「いいよ」 「……は?」 「何でか知らないけど、何でオレの攻撃まともに受けてるのかな? オレはあんたが精霊だと感じた時に、人間の相手になるものじゃないと感じた。 あんたがオレをちょっとでも攻撃すると多分オレは死んでしまう………」 「……ん~?」 そいつは楽しそうに微笑んだ。
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