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地下の監獄は4つに別れてる。北棺と東棺と西棺と南棺。
『棺』ってアホじゃね?
そして、中央庁。監獄に入れられた奴等を管理するとこだ。
奴等は、朝、昼、晩、日に三回監獄に来る。
特に、何をするわけでもない。ただ来るだけ。動物園だとでも思ってんのかね?
俺は西棺に割り振られた。四方を中央の奴等に囲まれて、汚い青い廊下を歩く。歩きづらいけど、前の奴の踵を踏まないように、そいつの踵を見つめながら。
密着し過ぎだと思わね?
踏んでやろうか?
黒い制服に、黒い帽子。赤い刺繍で縁取って、左胸には鷹のエンブレム。
皺も無いようなそいつを、ぴしりと着こなして、四人揃って同じ動作できびきびと進む様は、本気で気持ちが悪い。
俺をその内の一人だと思うなよ。
あくまで四人だ。俺は違う。
やる気なく、前の奴の踵を見つめながら、ダルそうに足を引きずりながら歩く。キョロキョロしてると、さっき怒られた。
見学ぐらい、させてくれたっていいじゃんな?
「止まれ」
目の前には黒い、見るからに重苦しい鉄の巨大な扉。窓も無い、きっと傷一つ付けられないだろう。
その両隣には、制服からして中央の奴等。俺の前の奴がその二人に、扉と同じく黒い、鉄製の鍵をそれぞれ渡す。
それを二人が同時に鍵穴に差し込む。
―ガコンッ
そして、同時に捻ると大げさな音を発てて、扉が上にのぼってく。
ゼンマイ仕掛けになってるのか、それは、ギリギリと耳障りな音をだしながら、ゆっくり、ゆっくりと新しい俺の世界を映し出した。
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