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「ほー、ほー、ほう」
やっぱりすごいや、じいちゃんは。
「ほー、ほう、ほおー?」
じいちゃんの声をまねてみた。
最後、少しだけ疑問形になっちゃったけど、結構上手に言えたはずだ。
じいちゃんを見てみる。
そりに乗って、降りしきる雪の中、じいちゃんは──。
「うおっほっほっ!! うむ、中々に上手じゃよ。じいちゃんの初めての時はそこまで声は延びなかった」
「本当!? じいちゃんよりも!?」
じいちゃんからの思わぬ誉め言葉がとても嬉しかった。
白い息を盛大に吐いて、僕はじいちゃんに笑いかける。
それに応える様に、じいちゃんもくしゃっと顔を崩して笑ってくれた。
……嬉しいな。
「そりゃ行くぞ!! じゃあの良い子よ、また来年!」
そりの上からじいちゃんはトナカイさんに鞭を入れた。
軽やかに、粉雪を振り払う様に舞い上がったそりは、瞬く間に白い雪が降り注ぐ夜空の闇に溶けて消えた。
ほーほーほー……
うん、決めた。
僕、大人になったら絶対にサンタさんになるよ。
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