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「あっついな……」
夏の日差しは容赦なく照りつける。
汗を吸い、重たくなったワイシャツを捲って流れる汗でネチャついた二の腕をさらけ出す。
涼を取ろうという彼の浅はかな考えはしかし、じわりじわりとまだまだ滲み出てくる汗が吹き飛ばしてくれた様だ。
営業部・佐藤の毎日は汗に始まり汗に終わる。
「今日も全く……」
成果は無い。
あれだけ動き回ったのだ。
あれだけ頭を下げたのだ。
「一つくらいは良い事があってもいいのになあ」
伏し目がちに歩くのが癖になってしまった佐藤。
下を向いて歩こうがスローガンの佐藤。
そんな佐藤の顔が、自然とほころんだ。
見つけたのは花。
アスファルトを押しのける様にして咲く花。
「うん。……頑張るか!」
佐藤がそう思えたのは、その花が頭を垂れていたから。
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