『音』

2/2
前へ
/48ページ
次へ
「暑いよっ! にっぽんって暑い!!」 平成20年、8月8日、暑い夏の日に。 私は死にました。 享年17才。やりたい事は、まだまだたくさんありました。 「ねえねえ人間。あ、名前は五十嵐佐知子ちゃんだったっけ。なんでもいいんだけどさぁ? この国の夏っていうのはどうしてこんなに暑いのかのう……? たまらんよ。わたしゃたまらんよ」 うるさいな。 今、死んだ後の絶望と混乱に浸ろうとしてるんでしょうよ。 空気読んで少し口を閉ざしなさいよ。 ……ああ。隣で(さっきからずっと)暑い暑いとうるさいのは、でっかい翼を生やした自称天使の方です。 バッサ!! 死んだ私の御霊を引き取りに来たとかで、さっきからずっと私の横で── バッサバッサ!! 横で…… バッサバッサバッサ!!!! るっさいよ! 翼を団扇代わりにして自分を扇いでるんじゃない! 「おっとぉ、お咎め無しでお願いしますよ~? なぜならぁ~……」 “音”だけにってか? お前、ほんとにぶっ飛ばすぞ? ……お後がよろしいようで。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加