あの夏

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少なくとも「哀」は彼の前で表したことはなかったけど。 「楽しそうね」 ある日私が言った。 そしたら彼はほんの少し頬を赤らめた。 そしてニカッと微笑んだ。 私達は隣を歩いて喋っているのに、高い金網でできた塀があたし達の間に立っている。 近くにいるのに遠い それを「哀」と感じる日がある。 * 「そろそろ荷物まとめてね」 「分かってるよ母さん」   
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