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動揺している流宇にリヒトはすまなさそうにいった。
「ごめんね。眠っている間に流宇の夢をのぞいちゃったんだ。」
「は!?」
夢を?のぞく!?
リヒトが何を言っているのかさっぱりわからない流宇はあからさまに首をかしげた。
「うん。ちなみに、この間、夢の中で手の甲にキスしたのも僕。僕が流宇の夢に意識を進入させたんだ。」
さも当然のことのように、非現実的なことを話すリヒトを見て流宇は訝しげな表情を浮かべた。
「ああ、地球人には思考を読み取ったり、操作する能力はないんだったね。僕達、フェリウス星人には当たり前の能力だから。」
フェリウス星なんて聞いたこともない星の名前だった。
いったい、リヒトは何者なんだろう。
顔に栄養が行ってしまい、頭がおかしくなってしまったんだろうか。
そこまで考えると、流宇は気の毒そうな顔でリヒトをみた。
プラチナブロンドのまつげを瞬かせ、きょとんとした表情でリヒトは流宇を見返した。
「流宇、ファーストキスのやり直し、しなくてもいいの?」
不意にそう問われ、流宇は先ほどのキスの感触を思い出し、思わず唇を押さえた。
「な、なんでファーストキスだなんて!!」
動揺したように呟く流宇をみて、微笑ましいものを見るような表情をしたリヒトはぎゅうとルウを抱きしめた。
「うれしいな。僕が初めてなんて。」
そう低い声で耳元で囁かれ、流宇は腰がぬけそうになってしまったのだった。
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