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その瞬間、彼はサファイアの瞳ががこぼれんばかりに目を見開いた。
「ああ、貴女が・・・・。」
そう呟くと、彼は恭しく流宇の前に跪いた。
な、何事?
思わず、流宇は意味不明な青少年の行動に身構えた。
しなやかな張りのある青少年の手が、度重なる手洗いと消毒でがさついている流宇の手をとると・・・・
青少年はその手にそっと形の良い唇を落とした。
「っつ!?」
突然の行動に息のむと、流宇の思考が一瞬停止した。
アホかと突っ込みを入れたい仕草さえも様になっている彼を、クリニックのスタッフ達は息をのんで見守っていた。
流宇の手から顔を上げた青年は、輝くような微笑を浮かべた。
ああ、これは・・・・この前みた夢のようだ。
半ば呆然としながらもそう考えている流宇のことなどお構いなしに、青年は体を起こすと流宇をぎゅうと抱きしめた。
「会いたかった。僕の乙女。」
はっきりとした日本語でそう呟くと、青少年はあろうことか・・・・
ちゅっv
かさついて口紅もとれかけた流宇の唇に、サーモンピンクの唇を重ねた。
不意に触れた温かくて柔らかい感触に、今度は流宇が目を見開いた。
「ん!?んん!!」
き!?キス!?
公衆の面前で、知らない美青年に突然口付けされた流宇はあまりの衝撃に意識がフェードアウトしてしまった。
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