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プロローグ
夢のなか。
どうやら風景は学校の放課後のようで、誰なのか顔が分からない黒い人影たちの声が響くなか、現れたのは幼なじみ。
なぜか彼女の姿だけは顔から足の指先(上履き)まではっきりとしていた。
そして俺を呼んでいる。
無意識に彼女に近寄る俺を俺は止めることもできずただ見ているだけであった。
誰の声も俺自身の声すらよく聞き取れないというのに、なぜか彼女の声だけは俺の耳にはっきりと届いた。
『今日一緒にかえろう』
彼氏がいるはずの彼女が俺と一緒に帰りたいという。
どう考えてもおかしいはずなのに、夢のなかの俺は笑顔で頷き、何かを言って彼女の手を取った。
すると彼女も手を握り返し、満面の笑みで頷いた。
その瞬間、俺自身が彼女への愛しさを感じた。
彼女の笑顔をもっと見たい、彼女を抱きしめたい。
そんな想いが一気にこみあげて、もどかしくなって、そして、目が覚めた。
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