理由

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 もうまもなく、横須賀の港へ入港する。 そとはもう真っ暗で、いくつかの強い光を持った星たちが自らの存在を主張するかのように輝きを放っている。 今日という日はもうほとんど残ってはいない。 毎日占いは変わるのだから、今日の占い結果は0時をすぎた時点で効果が消えてしまうのだろう。 それどころか、占いが当たるという保障はどこにもない。 しかし、今日の俺はその無責任な言葉を信じ、ただひたすらにこの時を待っていた。 入港前の機器の最終チェックをすませ、上に報告をいれ、そして、待った。陸に着くその瞬間を・・。 1分、1秒が妙に長く感じる。 それがいいことなのか悪いことなのか判断は微妙だった。 これほどまでに入港を待ち望んだことがあっただろうか、 いや、ない。  今までは、確かに外へ出ることができる楽しみを胸に待ってはいたが、時の錯覚を生み出したことは一度もなかった。  そして、時の流れを断ち切る一つの声が響いた。  『岸壁まで1メーター』  もうすぐだ。
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