理由

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 冷たい風が鋭く頬に吹き付ける。 今日は今年一番の寒気らしい。かなり厚着をしたつもりだったが、それでもまだ冷える。    入港したのが8時ちょうど。そして、8時15分、今陸に下りることができた。   しかし、幼なじみに出会うといっても、どこに行けば出会えるのかまったく検討がつかない。 日本は狭いようで広い。 あてどもなく歩いたところで時間切れになってしまうのが落ちだ。  それでも何か行動をしなければならないというのだから世界は厳しいものだ。   とりあえず、出港していた間電波が届かず、今まで触れていなかった携帯に手をかけ、 センターにメールを問い合わせてみたがいつもどおり迷惑メールの山が広がっているだけ・・・ ではなかった。 それは迷惑メールの山のなかに埋もれて小さく、しかし、はっきりとまるで星のようにうつる幼なじみの名前だった。 『ユキ』  送られた時刻は午前の8時。今から約12時間前だ。  何度も名前を確認した後、おそるおそるメールを開いたその内容は、短く、絵文字も句読点すらも使っていない淡々としたものであった。 『今夜7時みなとみらいの観覧車の前で待ってる』
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