第壱章

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「ぎるど?依頼を請け負って生活?ぎるどって何だ?」 セラフのキョトンとした顔から発せられた言葉にレンは絶句する。この世界にいてギルドを知らない何て有り得ないからだ。 「ちょっ、本気で聞いてるの?」 「ああ、何かおかしな事を聞いたか?」 十七年間という歳月を蒼空の楽園で生活していたにも関わらず、蒼空の楽園の事すらほとんど知らないのだ。そんなセラフが大地の牢獄の事を知っているはずがない。 モナに教わっていたのは言語の読み書きと簡単な計算という日常生活で必要最低限のものだけ。それも今までは言語以外はほとんど使う事すらなかった。 セラフにそんな事情がある事を知らないレンは『頭が逝っちゃってるのかしら?』とセラフを調べ始めるが、異常が見付かるはずもない。 「何だ?何で頭を触りまくるんだ?」 「どこかに頭をぶつけたりしたのかなぁって思って……でも何ともなさそうね。何か思い出せない事とかある?」
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