第壱章

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「思い出せない事……俺、昨日の晩飯食べたのかな?」 セラフは自分のお腹を押さえて答えるが、レンが聞きたい事とは程遠い事は確実だ。案の定レンは『何言ってるの?』みたいな表情でセラフに真冬の地面に出来る氷の様な冷めた視線を向けている。 「私が聞きたいのはそういう事じゃなくてね。一般常識で思い出せない事はないかって聞いてるのよ」 「忘れてる事は別にないぞ」 「そう?他にないならいいけど。じゃあギルドについて教えるわよ」 レンの言葉にセラフが首肯する。それを確認したレンがソファーから立ち上がり窓枠に背を預け、腰まである長い茶色の髪を風に靡かせながら話し始める。 「ギルドは仕入れの商人の護衛や、デルードの討伐、簡単なものだと手紙を届けたりする仕事を受けられる蒼空の楽園が設立した機関の事よ」 「ただ、依頼を請けるにはギルドに登録しなくちゃいけないの。でも最初からどんな依頼でも受けられるわけじゃない」
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