第壱章

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「でも弱いドルーデを倒してもなかなかレベルは上がらない。例えば……」 レンは自分の足下にある皮袋を漁り、メモリーディスクと同じ形をした黒い物体を取り出しスイッチを押す。すると、黒い物体からレンの顔写真と、その隣に数字の羅列が映し出される。 「私は今レベル二十一なんだけど、ドルーデにもギルドが決めたレベルがあって、レベル一のドルーデを百匹倒してもレベルは上がらないの。自分の前後三レベルのドルーデと戦うのが妥当かな」 レンの説明を聞いているセラフの目は爛々と輝き、黒い物体から出ている立体映像に釘付けになっている。それはまるで新しい玩具を買って貰った子供の様だ。 「で、このレベルを七十以上、依頼成功率を八十%以上にすると蒼空の楽園に上がる資格が貰えるのよ」 レンの最後のセリフ『蒼空の楽園に上がれる』という言葉を聞き、セラフの眉がピクリと反応を見せる。そして緩慢な動きで面を上げてレンを見る。
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