第壱章

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「他に何か方法がないか。だったわよね」 レンの言葉にセラフは涙目のまま必死に首肯する。余程レンが怖かったのだろう、セラフの身体は今もカタカタと小刻みに振動している。 「あるにはあるわよ」 レンの言葉を聞いてセラフが叫ぼうとするが、先程レンに植え付けられた恐怖を思い出し何とか我慢する。 「それ……は何でしょうか?」 「ギルドの責任者、つまり蒼空の楽園の最高幹部に認められるか、ギルドが無理なら商人として十億タポ(タポとは蒼空の楽園と大地の牢獄の共通通貨)貯めるかのどちらかね」 ギルドの最高幹部に認められるのは不可能だろう。認めてもらおうと思っている相手は自分を処刑しようとした人物なのだ。 「十億タポ貯め様とするとどれくらいの時間がかかるんだ?」 「そうね……軽く三、四十年以上はかかるんじゃないかしら?まあ、一生貯まらない可能性も高いけどね」
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