第壱章

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レンの言葉を聞いたセラフはモナに教わった普通の食事の仕方を思い出す。 『いいですかセラフ様。外で生活している人達は椅子という座る為に造られた物に腰掛け、テーブルという物に食器を置いて食事をします。 いつか外で生活する時に使うんです、しっかり頭に刻み込んでおいてください』 『分かった!!』 六、七歳の頃の記憶を引っ張り出し、モナの教えを思い出したセラフは目の前にある椅子とテーブルを見る。 「これが椅子で、これがテーブルか……」 セラフはレンを真似てテーブルにサンドイッチの乗った食器を置き、椅子に腰掛ける。そしてどこか間違っていないかと何度も自分とレンとを見比べる。 「何よ、まさかテーブルや椅子も使った事がない何て言わないわよね?」 セラフの行動に嫌な予感を感じたレンが訊ねると、セラフはコクコクと首肯する。レンは『今までどんな生活をしてたのよ』と辟易とするが、その表情は穏やかなものだった。
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