第弐章

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森林を抜けたセラフとレンは膝程の高さの草が緩やかに波打ち、その中心には白亜の石床が延びている。その石床の先には背の高い城壁が横に並び、城壁の前には掘があり跳ね上げ式の橋が掛かっている。 町の中に建てられた先端の尖っている純白の屋根に飾られた金製の十字架の上半分に重なる様に銀製の輪が付いた建造物が顔を出しているのが背の高い城壁の上からも確認できる。 「さ、今からギルドに行って依頼を請け負ってみましょうか!!」 レンは自分で作ってしまった先程までの雰囲気を壊す様に元気に話し掛ける。話し掛けられたセラフは依頼と聞いて若干テンションが上がる。 「ホントか!!どんな依頼が請けられるんだろ……楽しみだな!!」 セラフは双眸を爛々と輝かせているが、レンはそこまで大した依頼は請け負えないと知っている。昨日セラフにも説明をしたはずだが、舞い上がっているセラフはその事を思い出す事が出来ないでいる。 レンはその事を伝えようとするが、無邪気に喜んでいるセラフの姿を見ると言い出す事が出来なかった。
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