第弐章

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昨日も訪れた建物に来たセラフとレン。二人は躊躇う事なく扉を開けて中に入っていく。 中は昨日と変わらず退屈でセラフの興味を引く様なものもなければ『何をしているんだ?』と思える行動を取っている人物もいない。だが今日はそんな人間観察の様な事をしに来たわけではない。 セラフとレンは足下に自動歩行機でもあるかの様に迷いなく前へと進み、カウンターの向こう側にいる一人の女性職員に話し掛ける。 「こんにちは。今日は依頼を請け負いたいんだけど、適当にピックアップしてくれる?」 「はい。それではマギアルテディスクの提示をお願いします」 女性職員は業務用の笑みを顔に貼り付けて言う。そう言われたレンは無言で隣のセラフに視線を送る。 「――ん?何だ?」 レンの視線に気付いたセラフが訊ねる。するとレンはこれ見よがしに溜め息を吐いてセラフの前に手を差し出す。 相手がセラフではなく犬や猫といったペットならば『お手』と言っている様に見えなくもない。――レンの心境としては、どちらもあまり変わらないかもしれないが。
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