第弐章

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「取り敢えず中に入るわよ」 「あ、ああ……そうだな」 レンに促されるままセラフは聖堂教会に入る為に観音開きの扉に手を掛ける。しかし、いくら扉を押してもビクともしない。 「あのレンさん……開かないんですけど?」 「引いてみたら?」 レンの助言を受けてもう一度セラフは扉に手を掛ける。そして今度は押すのではなく、引いてみるが開かない。 「……あのレンさん?」 「うん。開ける為にはある程度の魔力がないと無理なのよね。ちなみに言うとねセラフがあと二十四人いれば扉は開くわよ」 レンは微笑みを浮かべてセラフに言う。勿論、彼女は初めから扉を開ける為の〝条件〟を知っていた。だが敢えて何も言わずセラフにやらせたのは『彼には本当に一握りの魔力しかないのか?』という疑念を持っていたからだ。 扉を開けられなかった事で少なくとも十七歳の平均的な五百という数値の魔力をセラフが持たない事が確定した。レンは自分で聖堂教会の扉を開けて中に入っていくのについてセラフも扉を潜り、聖堂教会内へと足を踏み入れる。
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