第弐章

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聖堂教会内はステンドグラスの聖母が磨きぬかれた床に描かれ、正面の他より数段高い場所には白亜石で造られた噴水、その噴水の後ろには十字架を背負った天使像の彫刻がある。そして入口の左右には二メートル程の高さの扉がある。 聖堂教会内を照らしているのは外から導き入れられた陽の光のみとなっており、天使像の背後に後光が射す感じになっていて厳粛なイメージを醸し出している。その中をセラフとレンが歩いていると、一段高い場所にある噴水の前に置かれた木製の机に教典が開いた状態で置かれている。 セラフとレンはその木製の机に置かれた教典を読んでいる一人の神父の格好をした老人に近付いていく。その老人は白くなった立派な髭を顎と鼻の下に携え、眉はその老人の双眸を隠してしまっている。 「すいません。ギルドの依頼でEin Tempel von Confucius adeltの方に手紙をお届けしに来たんですけど」 レンが話し掛けると老人は伏せていた顔を少しだけ上げてセラフとレンを見る。その老人の眸はセラフとレンの二人を明らかに訝しんでいる。
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