第弐章

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「…………ちょっとセラフ。手紙を渡して」 「えっ?あ、ああ!!――はい、これ」 セラフは懐中からギルドで受け取った一通の白い封筒を取り出す。老人は手紙を近付けたり遠ざけたりして何かを確認している。恐らく老眼か何かなのだろう。 「うむ――間違いないみたいだね。ご苦労様」 老人は手紙の代わりに白い紙にサインをしたものを二人に手渡してくる。レンは慣れた様子で老人から手紙を受け取る。 「ありがとうございま~す。また何かありましたらよろしくお願いします」 レンは営業スマイルで老人に話し掛けるが、既に老人はセラフもレンも見ていない。老人の眸は手元の手紙にしか向けられていない。 「なあレン。さっきのじいさんは手紙の何を見て『間違いない』とか言ったんだ?」 「あれは手紙の裏に聖堂教会の人達しか知らない特殊な魔力を流す事で浮かび上がる紋章を確認していたのよ」 ギルドからの依頼を終えた二人は老人から離れていく途中で会話をしている。だが厳粛な空間の雰囲気のせいか会話のトーンはかなり低く、内緒話の様になっている。
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