第参章

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「いいセラフ。今日は変な呼び込みに引っ掛からないでよ?」 レンは昨日の出来事から学習し、先手を取ってセラフに釘を刺しておく。そうレンに言われたセラフの身体がブルッと震える。 「勿論さ!!呼び込みには引っ掛からないよ――で、呼び込みって……何?」 セラフの言葉を聞いたレンが怒鳴ろうと大きく息を吸い込む。それを見たセラフは急いで耳を塞ぐ――が、いつまで経ってもレンの怒声は聞こえてこない。 セラフが『何でだ?』と思い面を上げると、そこには力なくうなだれているレンの姿があった。別に怒られるのに快感を覚えているわけではないが、どことなく寂しく感じてしまうセラフ。 「どうかしたのか?」 「何でもない……とにかく、知らない人に声を掛けられてもホイホイついて行かないでって事よ。分かった?」 「お、おう。任せとけ!!」 セラフの得意満面の笑みを見て更に不安が募るレン。この時に吐いた溜め息が今まで生きてきたレンの人生の中で一番盛大な溜め息となった。今後、更にレコードを更新する事になるのだが、今は知らない方が幸せだろう。
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