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「わぁ!!見てみて!!孤児院の前に馬車が止まってるよ!!」
誰かが怪我をしても慣れてしまった子供たちは、無邪気に窓の方に見に行く。セイも見に行きたくてうずうずしているようだ。ユエは仕方ないなぁという顔をして、「いっておいで」と声をかけた。
ユエも後ろから窓の方を覗き込んだ。馬車から降りた人は遠目からでも分かった。
さっきのお貴族様だわ!!この様子だと孤児院に用があるのかしら。
取り敢えずリリーさんが起きてくるはず。
「ほらみんな。リリーさんが起きてくるわ。ベッドに入りなさい。」
ユエは子供たち全員がベッドの中に入ったことを確認して、消灯した。そしてベッドには戻らずに軋む戸を少しだけ開け、玄関の様子を伺う。案の定リリーさんは起きてきて、夜中の訪問者に苛立ちを見せていたが相手がお貴族様と分かってコロッと態度が変わった。
ここからじゃ何を話しているのか聞こえないわ。
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