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女主人は階段をドスドス言わせながら、お貴族様の横を素通りして奥へ消えていった。
ユエは寝ている子供たちを起こさぬよう、階段を音をたたせずにゆっくりとおりた。
「やぁ、こんばんわ。先程ぶりだね、アチリーのお嬢さん。」
ニコリと笑って、手を胸に当ててて言うディック。
「こんばんわ。すいません。」
申し訳なさそうに顔をうつむけるユエに、ディックは不思議な顔を向ける。
「ん?何を謝ることがあるんだい?」
「お貴族様がわざわざ孤児院に来られたのは、アチリーの花代金の返金をお望みでしょう?
しかし、私が稼げる料金は1日1ダルなんで、すぐには用意できなくて…。」
おどおどしながら話すユエにお貴族様はキョトンとし、意味を理解すると豪快に笑いだして、子供たちが寝ていることに気づいて口に手を当てた。
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