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今年もきっとクリスマスはないわ
まあもともと私にはそんなものなんてないんだけど。
籠のなかを見て深くため息をつく。ため息は白くなり、徐々に消えていった。周りの電灯がポツポツとつきはじめていく。
ユエは孤児院に住む15歳の少女。八年間、ずっと休みなく働かされている。八年前の記憶は何故かない。
今さら過去振り返っても何も出てきやしないんだから。
そうやって私は割りきって生活している。
そんな私でもずっと叶わない夢を持っていた。
本当の家族と暮らしたい。
誰でも叶ってしまうような素朴な夢。しかし、孤児院の子供たちは借金とか養えないとかの理由で親に捨てられたのがほとんど。そのため心に傷を持つ子供が多い。
なかば何かを諦めたように生きる子供達でさえ、両親が迎えに来てくれることを心のすみで期待しながら過ごしているのだ。
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