17人が本棚に入れています
本棚に追加
私は今、両親のことを想像することでつらい毎日を生きている。
母さんや父さんはどんな人なのか、今、どこで何をしているのだろうか、とか。
思い出そうとしても記憶がないため思い出せない。
それでもユエはいつか迎えに来てくれると信じて毎日を送っている。
孤児院では最年長でもあるため、小さい子供達には涙も見せなかった。
見上げると、雪が止み、空は赤紫色から濃い青に変わろうとしていた。星が点々と輝き、ユエを見下ろしている。籠の中にある大量のアチリーの花を見て、また深くため息をついた。
全然売れなかった。
毎日花や薬草や木の実を売り歩いても全く売れないけれど、特に今日は聖夜の日という寂しさもあって、あの女主人が待つ家には帰りたくなかった。
「…はぁ。孤児院に帰りたくないなぁ。」
「じゃあ私の家に来るといい。」
最初のコメントを投稿しよう!