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ああ、まだいたのかという顔をしたのち、速く行けと言わんばかりに手をシッシッと仰ぐ。それを見届ける前にユエは軋む階段を上り始めていた。するとすぐ人影があるのが分かる。それも数人。
「ルナ、セイ、クルザ、ナツ。何してるの?速く部屋に戻りなさい。リリーさんに見つかったらまたどやされるわよ。」
暗がりでよくは見えないが、幼い子供たちは皆心配そうにユエの顔を見ていた。
「寝れないの?ほら、取り敢えず部屋に入って。」
子供たちを部屋に入るよう促し、周りを見回しながら腐っている戸を音をたたせずに閉めた。
ユエが振り返った瞬間いきなり沢山の子供たちに抱きつかれた。
「怒られなかった?」
「殴られなかった?」
「セイが今日リリーさんの大事にしてた鞄に水かけちゃって殴られたの。」
一斉にユエに話しかける子供たち。
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