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横行結腸中央部で大網を切離し、穴のような網嚢(ブルザ・オメンターリス)を開放する。
右方向に切離を延長する。
幽門部(胃の出口)付近で、胃結腸間膜と横行結腸間膜が癒合している。
これを剥がなくてはならない。
左手で二枚の膜をテント状に張り、右手人差し指で鎌でしごくようにかき分けていく。
簡単に剥がれる。右胃大網動脈、前下膵十二指腸動脈、副右結腸動脈が現れる。
ここの処理が誤るとSMV(上腸間膜静脈)が容易に裂ける。
「電メス、鑷子」
胃結腸間膜の横行結腸付着部を電メスで切離する。
こうして、右半結腸部から大網は完全に分離される。
「結紮します。3-0プロリン」
プロリン糸で切離線にある血管を結紮する。
その結紮手技の早いことと言ったらない。
「クーパー、鑷子」
鑷子で持ち上げながら、下からクーパーで切り上げる。
横行結腸付着部まで切り上げる。
「ケリー」
幽門下部で胃結腸間膜の下層にケリーを入れ、血管をすくう。
「3-0プロリン」
血管を結紮する。
「クーパー」
クーパーで結紮した血管もろとも大網をバッサリ切断する。
大網右半部が切除された。
「検体出ます。ゲフリール(迅速病理診断)に」
膿盆に大網が切り取られ、ポンと置かれた。
その膿盆は直ぐに病理部に運ばれ、病理医によって大網は液体窒素で凍結され、ミクロットームで薄切し、病理切片にし、検鏡し、迅速病理診断が下される。
普通の病理診断では、凍結はせず、組織の変性を防ぐ、固定と言う作業をする。
まずホルマリンにつけ、次はアルコールにつけ、次はキシレンにつけ、ようやくろう(パラフィン)に付け、ミクロトームで薄切し見鏡する。
これには3時間はかかる。
だから手術中に断端にがん細胞がいるか否かを見分けるのには遅すぎるのだ。
それで開発されたのが、液体窒素を使った迅速病理診断であり、かかる時間は10~20分である。
しかし綺麗に固定した方がやはり病理診断は正確だ
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