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腹腔内を探り終えた毒島は看護師に聞く。
「腹腔内に異常ありません。ガーゼカウントは?」
「数揃ってます」
「温生食2リットル」
温い生理食塩水の入った銀色のケトルが手渡される。
腹腔内に注がれた生理食塩水は吸引され、腹腔内は洗われる。
「デュープル8号ドレーン」
右側腹部に管(ドレーン)を置く。
ドレーンを置くことで、縫合不全を起こした時の治療(ドレーンから漏れた腸液を吸引したり、生食を流し洗浄する)も出来、またその早期発見にも寄与する。
だから消化器外科手術ではほとんどドレーンを置く。
「ガーゼ」
さばきガーゼで腹腔内や創の余計な水分を拭き取る。
切開創直下に癒着防止材を貼るためだ。
浅野が創の左縁を掴んでいるコッヘルを二本を挙上(きょじょう)した。
「松沢先生、コッヘルを挙上して。腹壁を持ち上げる感じで」
松沢がコッヘルを持ち上げる。
「これでいいですか?」
「もう少し強めに。貸して」
手本に毒島がコッヘルを持ち上げる。
「このまま、保持して」
コッヘルを同じ高さで、松沢に渡す。
「セプラフィルム」
切り込みを入れたセプラフィルムをU字型に曲げて腹腔内に入れる。
ホルダーを押さえつけ、フィルムを貼りつける。
背側のホルダーが引き剥がされる。
「鑷子」
鑷子で、腹側のホルダーを引き抜いた。
これで、癒着防止材セプラフィルムを貼付出来た。
「注射器(シリンジ)に生食3ml詰めて、渡して下さい」
器械出しはオーダーする前にきちんと準備していた。
シリンジで、セプラフィルムに生食を散布する
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