第二章~事件なんてそこら辺に転がってる物さ~

20/35
1053人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
 ノックしたら、こっちが開ける前に扉が開いた。  扉は途中までしか開かず、その間から久永部長が、頭だけ出してこちらを見た。その行為はまるで、中の様子を見せないという感じだ。  「あら、もう来たの。まだ部員全員そろってないのだけど」  「そんなのいいから、早く秘密をよこしなさい。それくらい、部長だけでできるでしょ」  緋凪の学年完璧無視の態度に、部長は不気味なくらいニッコリと、笑みをつくる。  「無理」  「何でよ!」  とっさに緋凪が抗議する。その気持ちはわかるがおい緋凪、ババくさいとか悪口言うのやめろっ。あぁ、久永部長のこめかみに青筋が……笑顔のままだから、余計に恐い。  俺は二人を何とかなだめた後、久永部長の方に向き直る。  「何で無理なんですか?緋凪も失礼だと思いますけど、それだけ楽しみにしてたんで、納得のいく理由をもらいたいんですが」  俺の言葉に、背後にいる緋凪から、よく言ったと声援が送られる。そんなのいいから黙っててほしい。  久永部長は「そうね……」と、少し迷ってから口を開く。  「簡単に言うと、準備ができてないの」  「昨日と今日を使ってですか?一体何を準備してるんですか」
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!