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ノックしたら、こっちが開ける前に扉が開いた。
扉は途中までしか開かず、その間から久永部長が、頭だけ出してこちらを見た。その行為はまるで、中の様子を見せないという感じだ。
「あら、もう来たの。まだ部員全員そろってないのだけど」
「そんなのいいから、早く秘密をよこしなさい。それくらい、部長だけでできるでしょ」
緋凪の学年完璧無視の態度に、部長は不気味なくらいニッコリと、笑みをつくる。
「無理」
「何でよ!」
とっさに緋凪が抗議する。その気持ちはわかるがおい緋凪、ババくさいとか悪口言うのやめろっ。あぁ、久永部長のこめかみに青筋が……笑顔のままだから、余計に恐い。
俺は二人を何とかなだめた後、久永部長の方に向き直る。
「何で無理なんですか?緋凪も失礼だと思いますけど、それだけ楽しみにしてたんで、納得のいく理由をもらいたいんですが」
俺の言葉に、背後にいる緋凪から、よく言ったと声援が送られる。そんなのいいから黙っててほしい。
久永部長は「そうね……」と、少し迷ってから口を開く。
「簡単に言うと、準備ができてないの」
「昨日と今日を使ってですか?一体何を準備してるんですか」
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