13.ウソツキ。

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『明日の講義は、15時まで。 そのまま、まっすぐ病院に行こう』 そうすれば、きっと…こんなモヤモヤなんて、吹き飛んでいるはずだから。 ---------- 「…じゃあ、本日はここまで。 レポートの提出が済んでいない者は本日中にすること。 あとは…」 「…先生! お先に失礼しますッ!」 「え? ちょっ… 牧原さん?!」 講義終了後の小言を、最後まで聞く余裕などなかった。 周りの視線が痛いくらいだったけど… それでも、『急がなきゃいけない』って、 「…芽衣チャン!」 「! 透く…、」 階段を凄まじい勢いで掛け降りていき、玄関の扉に衝突しそうになりながらも… 普段は履かないスニーカーの紐をきつく縛り、走りだそうとした…刹那。 激しいブレーキ音に次いで、聞き慣れた声。 「悠斗の所に行くんでしょう? なら、乗ってください。 送りますよ」 「ありがと、透くん…!」 後部座席には、ちづちゃんもいた。 二人いわく、朝から上の空だったあたしを心配して、見張っていたらしい。 そしたら案の定、講義中に抜け出したりするから… 「まったく。 お前は本当に人の期待を裏切らないな」 「、えへへ…」 「ホントですよねぇ。 まぁ、芽衣チャンがいつも以上に元気だったり、いつも以上に落ち込んだりしていたら…理由の9割は、悠斗ですからね」 確かに、と付け足して、笑いを噛み締めるちづる。 その横顔を、少しうらめしそうに見つめて。
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