生き延びるための条件

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「は?人体型ボディってあの義足とかのやつだろ?全部機械で補ってる……しかも俺の体を買い取りってなんだよ?」 混乱する彗はひたすら声に出して尋ねるしかなかった。彼の混乱を理解しているのか、シザーはわざとらしく笑い、質問に答える。 「そう、通常人体型ボディは手足、つまり高性能な義足や義手を指します。後は犬型ボディ、猫型ボディといった動物タイプの義手義足しか流通していません。ですが我々は人間の肉体そのものの機械化に成功したのです!」 冷静だった彼の声は次第に興奮し、所々狂喜しているような様子があった。それをシャープトンはいさめる所か微笑みながら眺めていた。   「……じゃあ、俺の身体は、」 「そう、頭部以外は全て機械です。血液も人工血液を使用しています。ちなみに睡眠や食事、排泄は行えますので普段通りに生活できます。あ、ただし性交は避けて頂きますね。その分野はまだきちんと研究されておりませんので……おっと、話が逸れましたね。後は何でしたか?ああ、あなたの買い取りについてでしたね。この地区の死体は全て我々が買い取っています。遺族には我々が作成した偽死体を渡してありますのでご心配には及びません。」 シザーは興奮したまま喋った。その言葉はとても信じがたい内容だったが慧は納得するしかなかった。何故なら、彼は先程から自分の皮膚に触れているのだが、違和感があるのだ。暖かいし柔らかい、だが、“違う”。触れている場所も感覚そのものも。何故か不愉快なのだ。
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