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黒い猫はあの店の前で止まった。
白い猫を背中から下ろし、ガラスの前に置き、黒い猫は白い猫と向き合った。
はじめてあった日と同じ様に。
「‥‥はじめて会った日も、こんな雪が降る夜だったね。毎日、ガラス越しにしか会えなかったけれど‥‥今はこんなに近くにいる。すごく幸せだよ。
もう一回、僕のプロポーズ受けてくれるかな。
今度こそ、ずっと一緒にいよう。
いつまでも‥‥‥いつまでも‥。」
白い猫は答えない。
「ね‥‥‥ずっと‥‥‥‥‥一緒‥‥‥‥‥」
黒い猫はゆっくりと目を閉じた。幸せそうに微笑みながら。
二度と目覚めることはない眠りについた。
雪が静かに黒い猫を優しく包む様に埋めていく。
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