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「・・・こんな事になるんなら、現れないで欲しかった。最初から独りにしておいてくれれば・・・、こんなに寂しくならなかったのに・・・、なのに・・・!」
「・・・独りにはしない」
和真は急に立ち止まると、夜空を見上げて呟いた。
「彩、お前を独りにはしねぇよ。俺が・・・」
「え?」
何?最後の部分が小声過ぎて聞こえない。
「お・・・、俺達がいるって言ったんだよっ!」
和真はいきなり慌てたように、顔を真っ赤にしながら大声で言ってくる。
「俺達はこれからもずっと一緒だ。・・・そうだろ?」
「和真・・・」
「だからもう、独りだなんて言うな」
「・・・うん」
ボクが頷くと和真はまた少し早歩きで歩き出し、急いでその後を付いていった。
不思議と息苦しさは消えていた。
「・・・ありがとう」
背中越しにそっと言ってみたのだけれど、声が小さすぎたか、和真からの返事は無かった。
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